Atelier Tsukiyomi VOL.07 — KYOTO · NISHIJIN
CHAPTER 03 STORY & BOOKS INTERVIEW

店主の
七年と、古書。

京都・西陣の長屋を改装したアトリエは、店主・藤村響子が一人で続けている小さな場所。
編集者時代の蔵書と、京都の古本市で集めた本を、棚に並べています。

— Interview · 店主の言葉 —

編集の机から、
長屋の窓辺へ

京都で生まれ、東京の出版社で文芸誌の編集を10年。30代の終わりに、編集の仕事を続けるかどうか、ずっと迷っていました。

2018年、母方の祖母から「西陣の長屋を貸してくれる人がいる」と連絡が来て、何度か京都に通ううちに「あの場所で、本と珈琲のことだけを考えて暮らせたら」と思うようになりました。

2019年の春、編集の仕事を辞め、京都に戻ってきました。長屋の改装は、京都の若い大工さんと半年かけて。ネルドリップは、新門前の「直珈琲」の店主に教わりました。

「Wi-Fi はありますか」「電源は使えますか」── 開店して最初の半年、よくそう聞かれました。「ありません」と答えると、半数の方は帰ってしまう。残った方が、本を1冊持って、窓辺の席で何時間も過ごしていく。── そういう場所として、少しずつ知られるようになりました。

本誌(Vol.07)の表紙の写真は、朝7時に北側の窓から差し込む光を撮ったものです。「光は、本を選ぶように落ちる」という言葉が浮かんだのが、開店して3年目の春でした。

店主 / 藤村 響子(Fujimura Kyoko)
— Timeline · 7 years —

七年間の、歩み。

2018

京都に戻る、長屋を借りる

東京の出版社を退職、京都・西陣の明治期の長屋を借りる。改装プランを建築家と半年かけて検討。窓辺の席だけは絶対に残したい、と決めた時期。

2019

Atelier Tsukiyomi 開店

4月、青い暖簾を掛けて開店。最初の半年は1日4名の来客が平均。新門前「直珈琲」のネルドリップを店主自ら習い、すべての一杯を一人で淹れる体制に。

2020

店内古書の販売を開始

店主の編集者時代の蔵書と、京都・百万遍の古本市で集めた本を、店内の本棚で販売開始。「Wi-Fi はありません」と紙に書いて貼った時期。

2021

季刊「月読」エディトリアル誌の創刊

季節ごとに発行するアトリエの小冊子「月読」を創刊。今号 (Vol.07) で7号目。SS / AW の年2回。店頭で無料配布。

2023

京都の若い菓子職人とのコラボ開始

京都の若い和菓子職人(鶴屋吉信のお弟子さん)と、季節の上生菓子を共同企画。月替わりの「季節の上生菓子」が看板メニューに育つ。

2026

7周年・現在

「月を読むような時間」を変わらず大切に。長居歓迎、Wi-Fi なし、スマートフォンの音は消してください。── そのままの姿勢で、今号 Vol.07 を発行しました。

CHAPTER / 04

Books.

店内の古書、すべて販売しています。

内の本棚に並んでいる古書は、すべて販売対象です。京都の古本市・百万遍・寺町通の古書店から、店主が一冊ずつ選んでいます。読みかけのまま、値札を持ってレジへどうぞ。

『月を見て、月を語る』
白洲正子 / 講談社 / 1996 ¥1,200
『京都の路地、暮らし続ける』
藤本壮介 / 筑摩書房 / 2011 ¥1,500
『コーヒーと、本と、私』
島尾敏雄 / 河出書房 / 1982 ¥980
『朝の珈琲、夜の紅茶』
稲垣足穂 / 中央公論 / 1970 ¥1,400
『京都の長屋を歩く』
松山巖 / 平凡社 / 2008 ¥1,300
『編集者の机から』
井上ひさし / 新潮社 / 1996 ¥1,180
『季節のうつわ、月の和菓子』
赤木明登 / 淡交社 / 2014 ¥2,400
『ネルドリップという技法』
森光宗男 / 旭屋出版 / 2019 ¥1,800

※ 在庫は1冊ずつ。同じ本の取り寄せはできません。店内古書一覧はおおよそ300〜400冊で、季節ごとに入れ替えています。

— Closing —

月を、読みに 来てください。

長屋の青い暖簾の向こうで、本と珈琲と、月を読むような時間が、ひっそりと待っています。

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